ささいなきっかけから美容師の道へ
昔からずっと美容師を目指していたわけでも、自分のお店を出したいと思っていたわけでもありません。私の家は2代続く設計事務所で、私もいずれは設計士になるのだろうと思っていました。そんな時、知り合いの美容室で、美容師をやってみないかと誘われました。単純に面白そう!というノリで、美容師になることを決めました(笑)。自分に合わなければそこでやめればいいだけだと思い、せっかくならやってみようと決断しました。
自分に自信を持てるように
同世代が大学や専門学校に行っている時から、美容師として社会に出て働き始めました。軽い気持ちで美容師を始めた自分とは異なり、昔から美容師を目指し学んできた同期と比較して落ち込むことも多々ありましたね。似たキャリアの人が周りにいなかったので孤独でした。けれど、ひたむきに努力し続け、だんだんと周りに認められるようになってからは、少しずつ自信を持てるようになりました。
誰かに影響を与えられる存在
自分のお店を出そうと思ったきっかけは、一緒に働いていた先輩の存在です。とにかくストイックに、自分が達成したいことは口に出し、確実に行動に移していくような方でした。裏ですごく努力をしている先輩に対して、尊敬という気持ちと、自分も彼のように誰かに影響を与えられる存在になりたいと思うようになりました。誰かに影響を与えるには、自分のお店をもった方が良いと考え、お店を出すことを決意しました。自分なら絶対にいいお店を出せるという自信もありましたしね。
教える立場の難しさ
オーナーになってからは、人を育てることの難しさに直面しています。自分自身が成長するためには、他の人より努力すればいいだけなので楽です。しかし、スタッフを一流のスタイリストに成長させるには、自分の努力だけではどうしようもできません。本人が努力する必要があります。もっと成長したい、自分の腕を磨きたいとスタッフ自身に思ってもらえるような、心に響く言葉選びを心掛けています。
楽しくなければ意味がない
何かを行う上で、自分の根本にある考えは“楽しくなければ意味がない”ということです。私自身雇われている時には、やりたくないことをやる必要があり、しんどいと感じる時もありました。けれど、オーナーとして自分自身で決めることができる立場に立ったので、私含めてスタッフにとっても楽しい場にしたいと考えています。
そのために、スタッフとは定期的にミーティングを行い、皆が楽しめているかどうかを常に意識しています。自分一人だけいい湯につかっているのでは、皆でやっている意味がありません。なので自分がやってみたいと思ったことは、一度スタッフに聞くようにしています。一人でもやりたくない人がいたらやりません。スタッフ皆が楽しめる場を大切にしたいからです。
時代に合わせて変化し続けていく
これからやっていきたいことはたくさんあります。昔から流行っているものが好きなので、その時のトレンドが変化し続ける限り、やりたいこともどんどん変わっていきます。今は、元々大好きな古着の店を出したり、夜限定営業のトレーディングカードショップをやったり、美容師という枠を超えて仕事を行っていきたいと思っています。
特にこれといったこだわりがないのが、私たちの強みであると考えています。指針がないことで、スタッフ間で方向性がずれて上手くまとまらないといったことも考えられます。しかし、そうなってもいいと思うんです。違う方向性に行く人が出てきたとしても、やりたいと思った本人の意志を尊重します。誰のことも置いていきません。自分とは異なった考えを持つ若い人と働いていきたいと思っています。
やりたいことが多様なスタッフを誰一人置いていかない
影響を与え続けることのできる存在を目指していく