イナリサーチ(伊那市)を完全子会社化した新日本科学(鹿児島市)が売上最高

掲載日2023.5.9

新日本科学(鹿児島市)は、2023年3月期の連結決算を8日に発表しました。同社は2022年7月に医薬品安全性試験のイナリサーチ(伊那市)を子会社化しました。これにより、売上高は前期比で41.4%増の250億9,000万円、経常利益は29.9%増の91億9,400万円に拡大し、いずれも過去最高を更新しました。

新日本科学は、医薬品開発のための大手受託試験業者です。連結決算に反映されたイナリサーチの業績は、2022年7月から2023年3月までの期間で、売上高が36億2,000万円、経常利益が4億5,000万円、純利益が3億1,000万円でした。しかし、新日本科学の純利益は、前期にあった中国子会社の持分変動による特別利益が無くなったことなどから、15.0%減の60億6,000万円となりました。

新日本科学

1957年に創業された当社は、国内初の医薬品開発業務受託機関(CRO)として活動を開始しました。当初は前臨床事業に特化したCROでしたが、1991年に臨床事業に進出し、日本企業として初めて前臨床研究施設(1999年、ワシントン州)と臨床研究施設(2003年、メリーランド州)を米国に設立しました。

さらに1997年には、トランスレーショナルリサーチ事業部門を新たに設置しました。これにより、独自の経鼻投与技術を確立すると同時に、数々の大学発バイオベンチャーをサポートしてきました。その中でもハーバード大学教授らと共同で設立したWAVE Life Sciences Ltd.は、2015年に米国のNASDAQ市場に上場し、Pfizer社をはじめとする世界の大手製薬企業とライセンス契約を締結するなどの成功を収めています。

また、2004年には鹿児島県指宿市にあるグリーンピア指宿(厚生年金基金施設103万坪)を取得し、「メディポリス指宿」に改名しました。その後、「指宿ベイヒルズHotel & SPA」や「メディポリスエネジー」(地熱発電所)を開設し、メディポリス国際陽子線治療センターの事業支援も行っています。

さらに、2015年には臨床事業部門を分社化し、Pharmaceutical Product Development, LLC.(PPD社)と合弁会社、「株式会社新日本科学PPD」を設立しました。

イナリサーチ

イナリサーチは、中央アルプスと南アルプスに囲まれた自然豊かな長野県伊那市に本社を置く企業で、1974年7月の創業以来、品質と信頼性へのこだわりを持ち続け、その技術と知識を磨き上げてきました。主に医薬品開発支援の非臨床ステージにおけるフルサービスを提供していますが、向精神薬の依存性を調べる依存性試験など、高度な知識と技術を要する特殊な試験の実施も可能で、その点で世界的に認知されているCRO(Contract Research Organization)として知られています。近年では、グローバルに顧客を獲得し、海外売上げが全体の5割に迫る勢いで拡大しています。特に東アジア、そして韓国市場で強みを発揮しています。