ものづくりへの興味
幼い頃からものづくりには興味を持っていました。アニメを見ることよりも、シンプルなブロックを自分の好きなように組み立てることに魅力を感じていましたね。小学校ではガキ大将のような存在で、クラスで一番怒られているような子どもでした(笑)。六年生の時に児童会長を任されたことをきっかけに、あだ名が「会長」となり、そこからリーダーを担う機会も多かったですね。
社長としての役割
私の父も経営者だったので、物心ついた時から社員旅行に連れて行ってもらったり、工場に行って社員さんたちに遊んでもらったりしていました。こんな感じで、家族の延長線上に会社があったので、将来自分の会社に貢献したいという想いは自然とありました。
会社が何を行うのかは社長が全て決めることができます。そのため、意思決定の際には私自身が何をしたいのかではなく、会社として何をすべきかを意識しています。2026年には創業130年を迎える歴史ある会社を引き継いだ身として、事業を継続していくことを第一に考えています。そのために、社長として自分が果たすべき役割は何なのか、やるべきことは何なのかを常に考えていますね。
引き継がれる二つの価値観
四代目として家業を引き継ぎましたが、社是として掲げている2つの考え方は大切にしています。一つ目は、「質素節約」です。麻と絹などの廃材を有効活用して機能材を作ることから我々の会社は始まりました。使える使えないではなく、使えないと思われる部分でも上手く活用する。限りある資源を有効活用するという精神は今でも守り続けています。
二つ目は「共栄福祉」です。経営の苦しみを通して得られた成果は皆で分け合いましょうという意味です。会社が大きく発展していくためには、社員の幸せを守ることが大切です。共に働いてくれている社員たちへの感謝は常に忘れず、日々過ごしています。
ともに学びを与え合う
弊社はグローバル展開も進めており、タイとベトナムにも拠点を構えています。国境を越えてNiKKi Fronという一つの会社として、統一された考えのもと生み出された品質を守っていく必要があります。日本には、同じ品質基準を保つための技術をただ単に教わるだけでなく、その人自身で磨き上げようという文化があります。海外の工場で働いている方々が、ものづくりに真剣に向き合ってくれている分、自分で高めようとする心構えも伝えていくべきであると考えています。
逆に彼らから学ぶことも多くあります。特に、知識を増やしたいというハングリー精神です。社員と話していても、お客様と話していても強く感じます。そのハングリー精神を応援するための制度の強化を行っています。例えば、海外など外部へビジネスについて学びに出る機会の提供です。会社からこのような機会を提案していくことで、個々の社員の中にあるハングリー精神を応援していきたいと思っています。
社員一人一人と向きあう
社員一人一人と向き合う機会を作ることを大切にしています。ご縁があってここで働くことを決めてくれた社員にはそれぞれ、これまでのキャリアや学歴、家庭環境など、悩みを持っていると思います。入社したきっかけや今後のキャリアプランなどの仕事の話をするために、私自身で工場内を回り社員に声掛けを行っています。
社員にとって働きやすい職場づくりのために、休みやすい仕組みづくりと職場の雰囲気づくりを意識しています。そのために、まず管理職の社員が先頭を切ってパパ育休・リフレッシュ休暇など、お休みを取るようにしています。ワークライフバランスを充実させて、社員の生活も充実してくれたらと考えています。
持続可能な事業とともに
先代社長の時から作っているものは変わらない一方で、プロセスをイノベーションし、海外でも通用する競争力を生み出していくことに力を入れて経営を行ってきました。今後は、第四の事業として、サステナブルマテリアルの自社開発・実用化を目指して、製品そのものを持続可能にすることを進めていきたいと考えています。どんな形であれ、我々の作っているものや会社の歴史、海外拠点などに興味を持ってくれた方々とともに、今後も大きく成長を続けていきたいと思います。
社員の存在があってこそ会社の成長がある
限りある資源を有効活用し、海外でも通用する競争力を生み出す