髙木 俊行

株式会社 酒のスーパータカぎ
髙木 俊行
TOSHIYUKITAKAGI

酒屋の風習に風穴を空け、ディスカウント業態の先駆者に。社員と共にワクワクできる酒屋を創造し続ける社長。
掲載日2025.6.30

酒のスーパータカぎ 髙木俊行社長「伝統を超えて、ワクワクする酒屋の未来を創造する」【長野市】

酒屋の風習に風穴を空け、ディスカウント業態の先駆者に。社員と共にワクワクできる酒屋を創造し続ける酒のスーパータカぎの髙木俊行社長に、自身の過去の話や、大切にしている価値観についてお話を伺ってきました。

インタビュアー
坂東 篤磨

酒屋として、お客様にワクワクできる体験を提供したい
ご縁と挑戦を大切にし現場主義で地域に根ざす

目次

長野県初のディスカウント酒販の先駆け

当社は1967年(昭和42年)、町の酒屋として創業しました。当時、酒の流通は、いわゆる「町の酒屋」が酒販免許制度により独占状態にあり、御用聞きスタイルで各家庭にお酒を届ける形が主流で、酒屋は地域にとって欠かせない存在でした。価格も定価販売が一般的で、値引き販売はありませんでした。酒を安く販売するといった概念はなかった時代です。その常識を打ち破ったのが、酒のディスカウント業態です。当社も1990年、長野県で初めてディスカウント酒販に挑戦しました。仕入れ原価、人件費、店舗設備等に対するコストを徹底的に抑え、販売価格を下げることで、その低価格で広い商圏から集客を行い、大量販売するビジネスモデルは、多くの消費者に支持され、業績を大きく伸ばしました。

現在では酒類販売の免許が自由化され、スーパーやドラッグストアなど多くの小売店が参入しています。その結果、価格競争はますます激しくなりました。このような市場環境の中で、当社が重視しているのは、価格以上に「楽しさ」や「ワクワク感」を提供できる店舗づくりです。今後も「酒屋」の枠にとらわれない新しい時代に合った業態を生み出し続けることが求められており、日々模索しながら挑戦中です。そして何より、お客様に愛される存在でありたいと考えています。

父の言葉が導いた酒屋一筋の道

私は2代目として父の跡を継ぎましたが、すぐに家業に入ったわけではありません。高校卒業後は東京の酒販問屋に就職し、3年間勤め、その後、長野に戻ってきました。当時はバブル景気の真っ只中で、さまざまなことに興味が湧き、いくつかの会社を転々としていた時期もありました。そんな私に父がかけた言葉があります。「今、本当にすべきことは何だ。酒屋だろう。目移りする気持ちもわかるが、今は酒屋に集中して全力を尽くせ」。この一言で、自分の進むべき道がはっきりと見えました。それ以来、私は酒販業に全力で取り組んできました。迷いを断ち切り、酒屋として地道に努力を重ねてきたからこそ、現在の全県にわたるネットワークやお取引様との信頼が築けたのだと感じています。

急成長を支えた現場主義と個性を活かす多店舗戦略

酒屋に集中すると決めた1995年頃、ディスカウント業態が広く受け入れられ、当社は大きく成長しました。毎月1店舗のペースで出店を進め、一番多い年には9店舗をオープンしました。競合他社が長野県に進出する前に地盤を固めようと、約2年間ほぼ休みなく働き、急速な多店舗展開を実現しました。今なら完全にブラック企業ですよね(笑)苦楽を共にしたスタッフも現在も現場で活躍しています。ありがたいです。店舗展開の中で最も重視したのが、本部と店舗の連携体制です。店長を介して現場の声を素早く吸い上げ、会社側が迅速にフィードバックする。このサイクルを徹底することで、チェーン全体が最大のパフォーマンスを発揮できるよう今も努めています。

また、若いスタッフにも責任ある仕事を早い段階で任せることを大切にしています。たとえば、商品発注を新人時代から担当させることで、意思決定の力を養い、やりがいや達成感につなげています。このような企業文化のもと、店長には「看板はタカぎでも、自分のお店と思って自由に運営していい」と伝えています。結果として、同じ商品を扱っていても、店舗ごとに異なる個性が生まれています。ぜひ当店にお越しの際には、それぞれの店舗が持つ雰囲気やこだわりを感じてみてください。

ご縁を原点に人と環境に調和する酒販店の挑戦

私たちは「ご縁を大切にし、己を磨こう」という理念を掲げています。この「ご縁」には、お客様、問屋様、メーカー様、社員、そして会社という5つのつながりがあり、そのどれが欠けても商売は成り立ちません。だからこそ、お互いを尊重し、調和しながら共に歩むことが、商売において最も大切だと社員に伝え続けています。

こうしたご縁を大切にする姿勢は、環境への取り組みにもつながっています。当社では10年以上前からSDGsへの対応として、アルミ缶の回収を開始しました。アルミ缶は再生可能な資源であり、地球環境の保全に役立つと考えています。また、瓶の回収も酒屋としての使命ととらえ、創業当初から継続して取り組んでいます。今後はさらに一歩進めて、大型店舗にリサイクルステーションを設置し、アルミ缶や瓶に加えて、新聞・雑誌・段ボールなどの資源回収にも力を入れていく方針です。人とのご縁を大切にしながら、環境との調和も目指す取り組みを、これからも継続してまいります。

今を生きる、若者たちへのエール

今の若い世代には、できるだけ多くの経験を積んでほしいと思っています。部活動、アルバイト、旅行など、日常の中でさまざまなことに挑戦することで、自分の価値観や興味が深まり、視野が広がっていきます。特に、時間に余裕のある学生時代こそが、挑戦するのに最も適したタイミングです。やらなかった後悔は、心の中に残り続け、これからの人生に積み重なっていくものです。一方で、挑戦による失敗は、命に関わるようなことではありません。うまくいかなかったとしても、すぐに立ち上がって次の選択肢を探せばいい。そうした失敗と挑戦の経験こそが、数年後には自分を突き動かす大きな力になっているはずです。だからこそ、失敗を恐れず、今のうちにたくさんのことにチャレンジしてほしい。その積み重ねが、きっと未来の自分を支えてくれると信じています。

髙木 俊行
髙木 俊行
TOSHIYUKITAKAGI
1968年長野県長野市生まれ。長野商業高等学校卒業。1986年、(株)大星商店へ入社。1990年、(株)東栄貿易へ入社。1993年、株式会社酒のスーパータカぎへ入社。2004年、代表取締役社長に就任。
株式会社 酒のスーパータカぎ

〒380-0912 長野県長野市稲葉日詰2777-1

TEL:026-221-5959
FAX:026-221-6336

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本記事のインタビュアー

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