好きな要素がすべてきのこ産業にはあった
オーストラリアの大学の医学部でリサーチアシスタントの仕事をしながら勉強をしていた頃から、研究職の雰囲気が気に入っていました。また、農業やグローバルビジネスにも関心があったので、きのこ産業のアカデミックな側面と農業としての側面、さらにグローバルビジネスのしやすさが自分に合っていると感じました。
日本は宝の山
海外に住んでいた時に同級生のアジアの留学生たちが、「日本ともっとビジネスがしたい」という意見をけっこう言っていたんです。でも、日本人にはあまり積極性がないし、英語を話せないからそういうところでビジネスチャンスを逃しているんです。日本は文化、伝統、産業技術において宝の山ですし、それを効率よく世界に発信できると良いなと思ったんです。日本の技術を世界中に広げて、その分野においてスタンダードにしていく、そういうことがしたかったんです。
理想だけではうまくいかない
発展途上国での日本の技術を使った貧しい人たちのためのプロジェクトは世の中にたくさんあるんですよ。でも、ある一定のタイミングで収益化をしないとビジネスとしては続かないんです。発展途上国のみに依存したビジネスはいずれ破綻してしまいます。理想的でかっこいいけど、現実的に持続することは、難しいです。日本の技術を使って発展途上国の開発を手伝いたいと思えば、先進国で収益化できるビジネスモデルを同時進行で組まなければならないと考えています。先進国と発展途上国のビジネスの両輪で回転させていく、それが私の考えるグローバルビジネスのビジネスモデルです。
ビジネスパートナーのまさかの行動…
インドのマニプール州インパールでの活動の際、プロジェクトを立ち上げたパートナーがサライホールディングスの会長兼地元野党の政党の党首だったんです。独立精神の強い地域だったため、彼がイギリスでマニプールの独立宣言をしてしまったんです。その結果、サライホールディングスには、業務停止命令が下り、プロジェクトは終わってしまったのですが、不利益はありませんでした。発展途上国でのビジネスのリスクを想定して、先進国で収益を上げるビジネスを構築していたからです。
形にする前の過程が楽しみ
人種や文化、宗教、哲学などのバックグラウンドが違ういろいろな人たちと話すことがとても好きです。そういう人たちとプロジェクトをして形になるものができた瞬間に一番喜びを感じます。物を売ることそのものよりも、作っていく前の過程の方が楽しいですね。
新技術 マッシュルームレザー
マッシュレザーって知っていますか?きのこをつかってレザーの代替品を作る技術です。服やカバン、名刺入れ、さらに緩衝材としても使えます。きのこの菌糸の結合力を利用した素材です。アメリカやヨーロッパでは、浸透していますが、日本でもようやく注目され始めました。1年半前からインドネシアの会社と一緒に企画しています。きのこは、「衣・食・住」全部に活用することができます。壁紙や椅子もきのこで作れます。
日本人として誇りをもってほしい
日本はリソースの塊なので、どんなことをしてもやり方次第で国際ビジネスは成立します。どんな場所にいても世界と繋がっていろいろなビジネスができる時代ですからね。グローバルビジネスを目指す学生たちには、グローバル人材とは何かよく考えて、日本人としてプライドを持って活動してほしいです。そうすれば、自然と道は開けていくと思います。どんどん積極的に行動していってほしいです。
日本が誇るきのこ栽培技術で、世界の食卓を笑顔に