工藤 英貴

新設工業 株式会社
工藤 英貴
HIDETAKAKUDO

地域の困りごとに応え、人とのつながりを大切にする。後悔のない人生を目指し、挑戦を続ける社長。
掲載日2025.4.30

新設工業 工藤英貴社長「今失敗したことは、10年後には笑い話。今やらなかったことは、10年後には後悔する。」【長野市】

チャレンジ精神旺盛で、自らも仲間もすべての人を大切に思う新設工業の工藤英貴社長に、自身の過去の話や、生きていく上で大切にしていることについてお話を伺ってきました。

インタビュアー
各務真帆

地域の困りごとに応え、人とのつながりを大切にする
後悔のない人生を目指し、挑戦を続ける

目次

旅を通じて出会いと時間の豊かさを感じた経験

私はチャレンジ精神を大切にし、思い立ったらすぐ行動に移すタイプです。自転車で富士山を目指して登頂したり、4日間かけて琵琶湖まで行き、1日で一周し、帰りはヒッチハイクで長野に戻った経験もあります。北海道は19日間かけて自転車で一周しました。その旅では多くの心優しい人たちに出会い、泊めてもらったり、仲良くなったりと、忘れられない出会いがありました。日本の東西南北すべてを訪れましたが、端に行くほど時間の流れがゆっくりで、暮らす人々も穏やかです。まるでタイムスリップしたような感覚になります。

株式会社ショーシンで働いていた時は休みが多かったため、家族と日本中を巡る旅も実現しました。長男・次男・妻と一度、娘が生まれた後には「娘も連れて行こう」と再び、県庁前で写真を撮りながら全国を巡りました。知らない土地に足を踏み入れると、日常から解放されるような気持ちになります。それは、日々の暮らしを真剣に生きているからこそ得られる特別な感覚だと感じています。

留年を通じて身につけた人との交渉力

学生時代に2回留年を経験しました。当時の2年間はとても長く、学校では「長老」と呼ばれるような存在になっていました。定期テストで1教科でも50点を下回ると留年という厳しい条件があり、テスト後には先生に直接交渉しに行くこともしばしばでした。

本来はテスト前にしっかり努力すべきだったと今では思いますが、当時の経験を通して、人と接するときの交渉力や伝え方の工夫が身についたと感じています。あの時間があったからこそ得られたものも多く、今では大切な経験だったと思っています。

父への反発と、親孝行の道

幼い頃、父は毎日のように仕事や付き合いで家を空けており、私は「将来こんな風にはなりたくない」と強く反発していました。父の会社を継ぐつもりも全くありませんでした。しかし、父が高齢となり会社の存続が危ぶまれる時期と、私自身が前職の株式会社ショーシンで商品開発の壁にぶつかっていた時期が重なり、半ば逃げるような形で父のもとに戻り、入社することになりました。

会社に入ってからは、休みも少なく、「社長の息子」という目で見られながら、何もできない自分に苦しみました。それでもあきらめず、自分が「ここは変えたい」と思った部分を前向きに改善し続け、今では社長として父への親孝行ができていると感じています。反発から始まった道が、今では大きなやりがいとなっています。

地域の困りごとに応え、貢献する

私が社長に就任するまでは、当社は主に下請けの仕事を受けていましたが、現在では元請けの仕事が全体の7割を占めるようになりました。その背景には、「町の困りごとを解決したい」という強い思いがあります。近年、悪徳業者が増加し、お客様が安心して依頼できる業者を選べないという問題が起きています。

私自身、地域に暮らしているので、近所の方とお風呂やゴミ捨て場などで顔を合わせたとき、「新設工業の工藤さん」として声をかけていただくことがよくあります。「シャワーの調子が悪い」「水道から変な音がする」など、その場で相談され、すぐに修理に伺うこともあります。

この仕事の魅力のひとつは、修理を終えたその瞬間に、お客様から直接「ありがとう」と感謝されることです。顔が見える関係だからこそ、地域に貢献できている実感があり、大きなやりがいを感じています。

社員全員が得をする会社を目指す

近所の方やお客様から仕事を頼まれて困ったことはありません。それは、資格や技術を持った信頼できる社員たちがいてくれるからです。彼らがいるからこそ、安心して仕事を引き受けることができています。

私は、社員がつらい思いをしているときには必ず声に耳を傾け、少しでも気持ちが軽くなるように心がけています。そして、職場の中で良くないと感じた部分は見て見ぬふりをせず、改善を徹底しています。自分ひとりだけが得をするのではなく、社員全員が安心して働ける環境をつくり、皆が得をする会社を目指すことが、私の経営の根幹です。

建設業の未来は若者の技術と資格が切り拓く

現在、建設業界では50歳以上の人材が全体の約30%を占めており、20代は10%にも満たない状況です。つまり、10年後には業界の3割がリタイアし、深刻な人手不足が訪れると予想されます。しかし、これは裏を返せばチャンスでもあります。競争相手が減り、仕事が豊富にある環境になるため、私たちが“売り手市場”になるのです。

しっかりと資格を取り、確かな技術を身につけていれば、たとえ会社が倒産したとしても、建設業で一生食べていくことができると私は思っています。これからの建設業界を担う若い人たちには、ぜひこの業界の未来に希望を持ってほしいと願っています。

多様な人との出会いが直観力を育てる

私はこれまで、旅でも仕事でも、さまざまな人と出会い、多くの経験を積んできました。学校で学ぶ知識だけがすべてではなく、人と関わることでこそ得られる“新たな知”があると感じています。多くの人と関わるうちに、「この人はどんな人か」がすぐに分かる直観力も身につきました。

会社ではクレーム対応をする場面もありましたが、なぜその人がクレームを言うのかを考え、感情ではなく事実を受け止めて、冷静に向き合うようにしています。こうした経験を通じて、人とつながることの大切さ、人と向き合う力の重要性を強く実感しています。人との出会いは、自分自身を成長させてくれる大きな財産です。

後悔のない人生を目指し、挑戦を続ける

「今失敗したことは10年後には笑い話になる。今やらなかったことは10年後に後悔する。」だからこそ私は、失敗を恐れずに挑戦する気持ちを大切にして生きています。父の会社を継いだことで、人生の半分は自分のものではないとも感じてきましたが、それでも努力を重ねて人脈を広げ、業績も向上させながら経営を続けてきました。

そんな日々の中で、「自分の人生とは何か?」と考えるようになり、最終的には「やりたいことをやりきって、満足して死にたい」と思うようになりました。だからこそ、これからもチャレンジ精神を忘れず、常に新しいことに挑戦し続けていきたいと考えています。後悔のない人生を送るために。

工藤 英貴
工藤 英貴
HIDETAKAKUDO
1977年、長野県長野市生まれ。国立長野工業高等専門学校卒業。株式会社ショーシン入社。2004年、新設工業株式会社入社。2015年、代表取締役社長に就任。
新設工業 株式会社

 

住所:〒381-2206

長野県長野市青木島町綱島310

TEL:026-284-6006

FAX:026-286-4461

40代社長 創業30年以上 北信 地域密着型 売上1億円以上 女性が活躍 建設 社員数10人以上 若手活躍

本記事のインタビュアー

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