峯村 崇

株式会社 峰村電気商会
峯村 崇
TAKASHIMINEMURA

海外で培った経験を生かし、電気技術者の地位向上と電気自動車普及を目指す。コミュニケーションを大切にし、人材育成に重きを置く社長。
掲載日2024.9.18

峰村電気商会 峯村崇社長「人材育成に重きを置き、電気技術者の地位向上を目指す」【千曲市】

海外で培った経験を生かし、電気技術者の地位向上と電気自動車普及を目指す。コミュニケーションを大切にし、人材育成に重きを置く峰村電気商会の峯村崇社長に、自身の過去の経験や力を入れているSDGsの取り組みについて話を伺ってきました。

インタビュアー
真柴 瑞季

人材育成に重きを置き、女性が働きやすい環境を整備する
電気技術者の地位向上と電気自動車普及を目指す

目次

電気工学からビジネスまで多彩な経歴を持つ社長が語る、家業継承の決断

私は、3代目の社長ですが、親から会社を継いでほしいと言われずに育てられました。大学は東京に出て芝浦工業大学に入学し、電気工学について学びました。大学卒業後はニューヨークの大学に留学し、そこで会計やビジネスについて学びました。

社会人になり、株式会社安川電機に採用され、出世街道を進んでいた時、親から「戻ってこないのであれば会社をたたむ」と告げられました。戻らなければ従業員が仕事を失うことになる状況でした。この時期、親戚でもあり現在は株式会社峯村材木店を経営している峯村亮さんも会社を継ぐかどうかの選択を迫られていました。

私たちは幼少期からの仲で、どうせなら一緒に長野に戻ろうという話になり、会社の跡を継ぐことを決めました。

海外で学んだ価値観の違いと電気技術者の地位向上への取り組み


海外に留学して印象的だったのは、日本と海外でまったく考え方が異なることです。仕事に関して、日本では年功序列制度があり、人種的な多様性が少ないことからコミュニケーションコストが低いことが多いです。対して、アメリカは実力主義で、多様な人種の人々が共に働いています。文化的背景や視点がそれぞれ異なるため、常に話し合う必要があり、価値観の違いを受け入れる柔軟性があります。

日本はコミュニケーションコストが低い同一民族ということに甘えているのではないか?と感じることがあります。ふつうにわかるよね?ではわかりません。言葉や行動にしないとわからない。

この体験から、私は日本に帰ってからも、詳細に話し、世代間の違いなど人と人との違いを柔軟に受け入れる姿勢を大切にしています。

また、電気技術者が、海外では高く評価されることに驚きました。アメリカやオーストラリアでは、知識・経験と資格をもち、危険な仕事を請け負う電気技術者たちが尊敬されています。私は、日本の電気技術者の地位向上のため、世の中にその重要性が認知されるよう日々邁進しています。

人材育成に重きを置いた経営で見えてきた成功の秘訣

弊社はプロジェクト単位で仕事を請け負っており、工事を完成させるまでにやることが多数ありました。会社を継いで間もない頃は、管理が未熟で現場が混乱しました。そのため、工程を進めるために多くの人を雇いましたが、人を雇うことはお金がかかります。増やせばいいという問題ではなく、その結果、あるプロジェクトでは同時期に7人の従業員が辞め、私の1か月の残業時間が360時間に達したこともありました。

私はこの経験から考え方を変え、人員の拡大をやめ、少数での人材育成に力を注ぐことにしました。現在のメンバーは、中途半端なところで辞めずに残ってくれた人材です。お客様が従業員たちを褒めてくださるときには、大きな喜びを感じます。特に従業員の接客態度や丁寧な仕事を褒められた時は、そのことを必ず従業員に伝えるようにしています。

私は従業員とのコミュニケーションを特に重要だと感じており、毎日従業員と目を合わせて話すことを心掛けています。でも社長という立場が邪魔してなのか、うまく話せないことが多く、悩みます。プライベートや仕事で悩んでいる従業員がいたとき、すぐにその様子に気づき、相談に乗ることができるようになりたいと思っています。

女性が働きやすい職場づくりと電気工学系での活躍を目指して

海外では電気工学系の仕事でも女性が多く働いており、職場の中に保育園があり、自身の子供を社内で見ている会社も多いです。しかし、こういった体制が整っている会社はほとんどありません。私は、女性たちが働きやすくするために、職場に子供たちを連れてきてもいいと思っています。実際、社員や私の子供たちが職場にいることも珍しくありません。

保育園や親戚がどうしても見れないときは子供を連れてきていい、働きたいという人を応援したいと思います。

また、女性がこの業界で働きにくい要因として、多くの人が業界における技能と技術を混同し、女性には向いていないというイメージを持っていることが挙げられるのではないかと思います。技術とは、簡単にいうと現場の管理をする人、技能とは、工事現場で実際に施工を行う人です。

どちらが向いているかは人それぞれであり、これを見極めることで女性にとっても能力を生かせることができるのではないかと考えています。

日本での電気自動車普及に向けた取り組みと先進的なオフィスのZEB化の実現

電気自動車の普及に力を入れています。例えば私が韓国に行ったとき、きれいな電気自動車が多く走っていました。韓国では電気自動車を普及させるためのさまざまな政策が行われています。一方で、日本ではまだ電気自動車を見ることはめったにありません。

日本で電気自動車が普及しない理由として、充電場所が限られていることが挙げられます。日本では、EV充電器の収益化されておらず、例えばホテルに補助金でEV充電器を設置しようとしても、電気代はホテル側が負担しなければならないため、設置するメリットがありません。

私は現在、さまざまな場所にEV充電器を設置する取り組みを行っています。EV充電には、自宅や事業所の駐車場などドライバーが最も長時間滞在する場所で行う「基礎充電」、目的地に着くまでに不足分を補う「経路充電」、滞在先の施設で行う「目的地充電」の3種類があります。

それぞれの目的に合う充電器を設置する必要があり、芝浦工業大学と連携してEV充電器の設置を進めています。5~6年前からテスラ社とEV充電器の設置を開始しました。

また、自社にはテスラ社のパワーウォール(蓄電池)を設置し、生成されたエネルギーを自家消費しています。新社屋の外壁にはWood-ALC板を取り付けることで、熱貫流率も改善しています。こうした取り組みにより、この地域で初めてスモールオフィスでのZEB化を実現させました。

人間性を重視した新卒採用と社員の成長を支える職場環境

私は中途採用よりも新卒採用を積極的に行いたいと考えています。技術力に長けた人材よりも、人間性が良く、素直な人材を求めています。即戦力になる必要はありません。現場に連れて行ったり、CADを触らせたりと、さまざまな経験を通して、一人前の人材に育てていきたいと思っています。

私は社員と適切な距離感を保ち、堅苦しさを感じさせない雰囲気を維持しつつ、個人を尊重できる職場を目指しています。社員には自走できる人間になってほしいと願っています。失敗しても構いません。社員たちそれぞれの思いを尊重し、成長していってほしいのです。まだまだ道半ばですが、精進していきたいと考えています。

峯村 崇
峯村 崇
TAKASHIMINEMURA
1987年長野県生まれ。芝浦工業大学工学部電気工学科、NY州プライベートCanisius College リベラルアーツEntreprenurship学部留学。株式会社安川電機に入社。2014年、株式会社峰村電気に入社。2020年、代表取締役に就任。
株式会社 峰村電気商会

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本記事のインタビュアー

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