大枝 令

株式会社トゥエルブ
大枝 令
REIOEDA

東京から長野へ。大学へは2度通い、新聞社勤務を経てスポーツを軸に、‘文字’による発信を続けている社長。

トゥエルブ 大枝令社長 「遺書を書くつもりで記事を書く」【松本市】

東京から長野へ。大学へは2度通い、新聞社勤務を経てスポーツを軸に、‘文字’による発信を続けているトゥエルブの大枝令社長に、新聞社時代の経験を活かして起業した話や、学生時代の海外旅行で価値観が揺さぶられた話について根掘り葉掘り深掘りなインタビューをさせていただきました。

インタビュアー
冨田 彩花

「文字は時空を超える」自分の言葉を残したい。長野県の魅力を発信し、読者の行動変容までつなげられることが最大の喜び。

目次

新聞社での経験を活かして

会社の事業は、様々な媒体の発行物への寄稿をはじめとする編集プロダクションです。2020年1月に設立したばかりで長野県松本市に拠点を置いています。長野県の新聞社、長野日報で経験を積んだ後、フリーライターとして松本のサッカーチーム松本山雅FCを中心に取材をしてきました。松本山雅の取材を日々していて、選手やチームのストーリーを読み手に感動が一番伝わるような形になるよう努めています。さらに私の記事によって読者の行動変容を起こすことができればそれが一番の喜びです。それと並行して、企業・団体のHPのテキスト作成なども幅広く手がけています。

2000年後まで残る‘文字’で発信する

イエスキリストは死後2000年経ってなお世界の至るところで語り継がれ、影響を与えています。私が同じように語り継がれないのは当然としても、もしかしたら私の書いたものが2000年先も残り、誰かに読まれるかもしれません。人間が人間である理由は、文字という記号を持っているからだと私は思っています。口承でのみ文化を伝えていた文明・文化が後世まで語り継がれる例は少なく、逆に文字を開発した文明は今現在もしっかりと語り継がれています。

文字という記号は時空・場所を超えて、web空間でも紙でも書いたものは残るため、毎回毎回遺書を書くくらいのつもりで記事を書いています。何年、何十年先になるかはわかりませんが、私が書いたものを次世代の人たちが読んで、その人たちに影響を与えることができたらそんなに幸せなことはないでしょう。

地域の背番号12番=サポーターになりたい

実は大学に2回通っていて、最後に卒業した早稲田大学時代に大手の新聞社の編集局でデスクのサポートをするアルバイトをしていました。日本・世界の最新情報が集まってきて1分1秒を争い、時には火花散るようなやりとりの中で学ぶことは多かったですが、地域に密着した取材をしたい、記事を書きたいと思いました。例えば「このような法案が通りました」となった時にどう地方自治体で運用され、人々の生活にどのような影響を与えるのかというボトムアップの視点から描きたいなと。長野県にはバイクでよく訪れていたので長野県に就職を決めました。

世界・国内で起こっている大きな出来事に対して、地域に密着をした発信をする。例えば2008年のリーマンショック。「不況だから仕方がない」で終わるのではなくて、不況を乗り越え、地域を活性化させるための提案ができることが地域密着ならではだと思います。取材対象や読んでくださる方々のサポーター役になりたいという意味で、サッカーのサポーターの背番号12から取って、「トゥエルブ」という社名にしました。

スポーツに限らず幅広く手がけていきたい

現在は松本山雅を中心として長野県のスポーツの活性化の一助になっていきたいという思いで活動していますが、それ以外にも全国の国立大学医学部教授などにインタビューさせていただいたり、世界的なアウトドアブランドのストーリーテリングを請け負ったり、長野県発の日本酒ブランド立ち上げに関わるテキストを一手に任せていただいたり。さまざまな分野でお仕事をしております。

自分が知らない知識、フィールドに触れることは楽しいんですよね。自分がまだ知らないことを知りたいし、知ったことを世の中に還元していきたい。栄養素でも1つの栄養ばかりを取っていては健康にならないのと同様で、バランスよくスポーツ以外の分野もさらに広げていきたいと思っていて、それが結果的にはメインのスポーツ分野にも繋がってくるのではないかと思います。まだまだ眠っているストーリーを引き出して読者の皆さまの興味関心を引き出していければと思っています。

言葉の踊るインタビューにするために

インタビュー取材をさせてもらう中での一番うれしいことは、インタビューを受けてもらっている方から「この話は大枝さんだからするんですよ」と言ってもらえた時ですね。そのように話してくださるのは長年の付き合いで築き上げた信頼関係があってこその結果だと思います。相手と信頼関係を築くためにはよく相手の話を聴くことが必要です。もちろんインタビューをする際のテクニックも大切ですが、小手先だけのテクニックだけでは確かな信頼関係は得られないですよね。

インタビューの前には準備をしっかりしていきますが、実際にインタビューをしている中で「こっちを掘った方がおもしろいな」と思ったら逃さずにアドリブで質問をして、インタビュー空間をより快適で実りの多いものにしていくことを心がけています。

イスラエル・パレスチナで目の当たりにしたから

学生時代に海外旅行をした経験はとても刺激になりました。元々文学部で哲学や現代思想、宗教学、言語学、心理学、民俗学、文化人類学など人文系の学問を手当たり次第に学んでいて、その中で世の中の争いの源流を一度目の当たりにせねば…という使命感が芽生えたんです。それで、イスラエル、パレスチナに約3週間行ってきました。パレスチナのヨルダン川西岸地区に入ってベツレへムからエルサレムの宿に帰るとき、アラブ人コミュニティとイスラエル軍の小競り合いを目撃しました。イスラエル兵が銃を構えている場を目の当たりにしまして、「銃がすぐそこにある」ということがいかに日本人の自分にとっては非日常であったのかを思い知らされました。死との距離がぐっと近づいて、価値観が揺さぶられました。そんな経験もあって「明日無事に起きられる保証はないから、その日その日を全力で過ごすこと」を大事にしています。

誰でも発信できる時代だからこそ

印刷技術が発展し、文字は場所をも超えるからこそ、日本で書かれたものでも世界のどこかで見られるかもしれない。今の時代、文字は軽んじられている部分があると思います。誰もが気軽に発信できるようになった今、世の中には虚実の混ざった、玉石混交の情報が飛び交っています。中には相手に対する攻撃性の高い言葉など思慮に欠けたものがありますし、そもそも事実認定のあやふやなまま拡散されているものも非常に多い。

得手不得手はあっても、日本人であれば基本的には誰でも文章を書けます。そうした中でライターという専門職の集団を名乗る以上は、「言葉ってこんなにも奥深いものなのだ」ということをお見せしていかなければいけないと自任しています。また、そういったノウハウを後進にも惜しまず伝えていきたいですね。

大枝 令
大枝 令
REIOEDA
1978年、東京都世田谷区出身。早稲田大卒後の2005年から長野県内の新聞社に勤務し、2008年以降はスポーツ専属担当。2015年に退社してフリーランスのスポーツライターとなり、2016年から松本山雅FCの公式有料コンテンツ「ヤマガプレミアム」編集長。松本山雅FCの取材活動に軸足を置きつつ、甲信地方の各種スポーツやそれ以外の分野についても記事を執筆している。
株式会社トゥエルブ

長野県松本市中央1-7-13 カネモ公園ビル3F

TEL.0263-87-1205

40代社長 メディア 中信 創業5年未満 創業者 地域密着型 売上1億円未満 社員数10人未満

本記事のインタビュアー

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