大石 壮太郎

株式会社 テンホウ・フーズ
大石 壮太郎
SOUTAROUOOISHI

100年続く企業を目指し、地域の人に喜ばれ誇りを持たれるように、様々なことにチャレンジをして変化を試みる社長

テンホウ・フーズ 大石壮太郎社長「地域や周りの人に誇れる会社にしたい」【諏訪市】

100年続く企業を目指して。地域の人に喜ばれ誇りを持たれるように、様々なことにチャレンジをして変化を試みるテンホウ・フーズの大石壮太郎社長に、飲食業であるテンホウ・フーズを引き継ぎ経営する上での工夫や大切にしてきたことを伺ってきました。

インタビュアー
杉江 夏実

3代続くおふくろの味が親しまれる理由。お客様への信頼と、従業員への信頼がつくりあげた会社。

目次

信ずれば成り、憂えれば崩れる

企業を長く続けるために大事なことは、信じること、信頼されること、お客様からご期待いただくことだと思っています。これらが芯にあって初めて事業が成り立ちます。会社に倫理観や道徳は必要で、信じられなくなった時に、お客様を信じることができなくなり、従業員を信じられなくなり、最後には自分を信じることができなくなってしまうのです。私は「人を疑うくらいなら騙された方がましだ」と思って、徹底的に人を信じています。この考えが会社の仕組みにも多く組み込まれています。

事業を受け継いだ思い

若いころから会社を受け継ぐつもりで人生を歩んできました。大学では、政治経済経営学科に進学し、松下幸之助など様々な人から学びました。会社を受け継ぐ時に感じたことは、百代おばあちゃんがテンホウの前身である鶴の湯旅館を創業し、父親が会社を設立したから、今の自分があるということです。自分だけの力で今のテンホウがあるわけではく、引き継いできたものをしっかり守って、次の代に引き継がなければならないと強く思いました。

長く続く企業、いわゆる老舗の経営者は、40代が一番働ける世代だと分かっているので、その年齢になったら代表権を渡し、資産管理や運用については、しっかり時間をかけて引き継いでいきます。父親からはそういう引き継ぎを受けたので、ありがたく思いました。

誇れる存在に

嬉しかったことはたくさんありますが、従業員の子供が、親がテンホウで働いていることを自慢にしてくれているという話を聞いたとき、すごく嬉しかったですね。

昔、新卒で入った子で、飲食業は低く見られる職業だから、テンホウで働いていることを友だちに言えない、と言った子がいました。じゃあ、自分達が働いていて地域や周りの人に誇れる会社にしようというのがモチベーションになっています。

苦労は心の持ち方で変わる

文字通りの苦労や失敗はたくさんありますが、自分ではあまり苦労したとは思っていません。結局心の持ち方で、悩んで何もできない時は苦しいですが、その時に、えいやっと行動してしまえば、その問題や悩みはひとつの課題になるんです。何かアクションを起こして、その結果を分析してまた行動し続けることが大切だと思っています。

工場を作った時も、資金運用のことで潰れるんじゃないかと悩みましたが、「よしじゃあ営業をしよう」と動くことで、新しい人脈作りに繋がりました。失敗が無い人は、何も挑戦していないということです。10個やって1個上手くいくかどうかを怖がらずに、行動して結果を判断して、常に改良を繰り返していくことで、苦労ではなく楽しみになっていくはずです。

「豊かさの実現」を考える

会社に戻ってきた時、会社の売上は下がっていました。それに従業員は皆、会社に対する文句ばかりでした。それを見て、仕事ってもっと楽しいものであるはずだと思いました。父親が作った経営理念に「豊かさの実現」というものがあります。じゃあ豊かさってなんだろうか?と社員の皆に聞いて回ったところ、出てきたのは、お金のことでした。そこから、お金を稼ぐためにできることはなにかを突き詰めていくと、様々な「豊かさの実現」が必要だと分かってきました。

まず「健康の豊かさ」です。お客様は元気な店員に接客されると元気になって帰ってもらえます。まずは明るく元気に過ごそう!ということです。

次に「心の豊かさ」です。接客業は奉仕産業だから、心が豊かじゃないとお客様にも満足してもらえません。自分を大事にして、心を豊かに過ごす。そして人の役に立つことをやっていこうということです。

3つ目が「人の豊かさ」で、人の繋がりを大事にしようということです。テンホウは、お客様や従業員、業者の人たちとの繋がりの中にあってこそ今があるからです。

最後が「趣味の豊かさ」です。遊びのことではありません。仕事を趣味のように、自分から興味を持って楽しむということです。生きている時間の内、仕事をしている時間は非常に長いため、その時間を楽しめるようになれば、絶対に人生は豊かになります。

これら4つの「豊かさの実現」ができれば、仕事が上手くいき、「お金の豊かさ」を実現することができるんです。

僕自身は、将来死ぬときに1万人くらいから「大石が死んだのは惜しい」と言われるような働き方をしたいと思っています。自分が死ぬときにどう思われたいかを考えながら、「豊かさの実現」という経営理念について深め、整えたことが、様々なことが変わってくるきっかけになりました。

14という数字

テンホウは1040(テンフォー)と表せます。オヤジギャグですよ?(笑) 創業の年は昭和14年で、10月14日はテンホウの日として140円引きをしています。また、おおいしと言う名前は0014とも表せ、14という数字に縁起を担いでいます。小学生の頃は「おおいし君ちはラーメン屋さん。おーいしそうだろう!」なんて揶揄われたりもしましたけど、今思えば言葉の通り、お客様に美味しく喜んでもらえるといいなと思っています。

子供の頃は、店と自宅がすぐ近くだったので、若い従業員に面倒を見てもらっていました。そのせいか、大人と接することが得意になりました。学校でも、同級生よりも先輩達と遊ぶ方が得意でした。転校を繰り返したので、広く浅くの付き合いが多かったです。大学も県外に進学して、本当に色々な人との付き合いが増えて、出会った人の数だけ視野が広がりました。

会社経営において、視野を広くして自分の経営を俯瞰して見ることは大事です。この辺り、自分の幼少期からの育ち方が影響しているのだと思います。

皆さんにはぜひ、仲のいい人だけと付き合うのではなく、まったく畑違いの人と関わってみてほしいです。考え方や経験なども違うので、そういった人と話したりすると、自分が成長できます。

地域への責任を果たすということ

私が考える責任は、まずお客様に対して果たすものです。その次に業者関係者、その次に従業員、そして地域社会、最後に株主の方々に果たすものとしています。人口が減っていく社会で、全国チェーンを目指す必要はないと思い、規模拡大を目指すのではなく、豊かさや幸せを目指して長野県特化の企業として頑張っていきたいと思います。

そして皆さんには、マニュアルに沿って働くことに満足してほしくありません。自分の仕事が果たすべき目的の責任を考えなければなりません。目の前のお客様に対してどうすれば喜んでもらえるか知恵を出して、考えて、今以上に付加価値をつけるにはどうすればいいか自分自身で考えようとしなければなりません。言われたことだけをやる方が確かに楽です。でも自分の人生を主役にできるのは自分だけです。皆が主役になれるような会社、社会、地域になればいいと思っています。

これからのテンホウ

100年続く企業を目指し、社会の中で様々な変化を取り入れて、次の世代に渡していく経営をしたいと思っています。長野県、諏訪の地域の人に喜ばれて誇りを持ってもらえるように、チャレンジを重ね変化していくことを大事にしたいです。

テンホウにはお客様が期待してくださるイメージがあります。私たちはその期待を常に超えていかなければなりません。

どのような人材を求めるか

明るく元気で、自ら学ぶ姿勢を持ち、行動力がある人。苦手なことにも挑戦していく人。柔軟性がある人。テンホウが掲げるような目的に向かっていける人。信頼できる人。

でもやっぱり、一緒に働いていても気持ち良く、楽しそうに働ける人がいいですね。

大石 壮太郎
大石 壮太郎
SOUTAROUOOISHI
1972年生まれ。長野県諏訪市出身。 東海大学政治経済学部経営学科卒業。2012年、株式会社テンホウ・フーズ3代目代表取締役に就任。
株式会社 テンホウ・フーズ

〒392-0015 長野県諏訪市中洲5314-1(旧住所5464-18)

TEL 0266-58-1100  

 FAX 0266-58-5845

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本記事のインタビュアー

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