原点となった居酒屋でのアルバイトと、店舗設計への熱意

はじまりは、高校時代の居酒屋でのアルバイトでした。大人が心から楽しんでいる居酒屋の雰囲気に惹かれ、当時はそのまま居酒屋に就職しようと考えていたほどです。しかし、進路相談で先生から「居酒屋の何が好きなのか」と問われ、「雰囲気が好き」と答えたところ、「それなら、その空間を生み出す店舗設計の仕事もいいんじゃないか」とアドバイスを受けたのです。この一言が転機となり、建築を学ぶため専門学校へ進学。卒業後、最初に入社した会社で念願の店舗設計に携わることになりました。設計の仕事はとにかく楽しくて仕方がありませんでした。睡眠不足などの肉体的な苦労はあっても、精神的な辛さを感じることはありませんでした。心から「楽しい」と思える仕事に出会えた経験は、その後の人生にも大きな影響を与えています。一方で、物心ついたころから「いつか自分の会社を持ちたい」という目標を抱き続けていました。そして、一級建築士の資格取得を機に「これで独立する準備が整った」と確信し、起業を決意したのです。
「人の行く、裏に道あり花の山」

店舗設計にこだわる一番の理由は、最初の会社での経験がとにかく楽しかったからです。図面を描くこと自体は、建築を学んだ人なら誰でもできるかもしれません。しかし、店舗設計のみを専門とする会社は驚くほど少ないのが現状です。私の座右の銘は「人の行く、裏に道あり花の山」。あえて王道を避け、少し外れた道として選んだのが「店舗設計専門」という独自のアプローチでした。現在では、手掛けた店舗が繁盛するだけでなく、そのお店を起点に長野や諏訪、松本といったまち全体が盛り上がっていくことを目指しています。お客様との打ち合わせでも、単なるデザインにとどまらず「どんな想いを抱いているのか」「来店されたお客様にどう喜んでいただけるか」に深く意識を向けています。また、現在特に力を入れているのがマルシェの運営です。店舗設計とは異なる事業ですが、「人のつながりとまちのにぎわいを創る」という、地域を良くしたいという私たちの根底にある想いは共通しています。
仕事も人脈もゼロからのスタート。社名に刻んだ創業の初心

「ワークスゼロ」という社名には、仕事や働く場を意味する「ワークス」と、固定観念にとらわれないまっさらな状態から新しいデザインを生み出そうという想いが込められています。さらに、起業当初は「仕事が全くのゼロだった」という事実も由来の一つです。独立時、以前の会社からはお客様を一切引き継ぎませんでした。仕事も人脈も何もない、まさにゼロからの出発。そのときの覚悟や泥臭い情熱は、今でも決して忘れることはありません。会社が成長し規模が大きくなっても、「ゼロから始めた」という創業時のハングリー精神は常に大切にしています。これからも、この初心を胸に深く刻み続けたいと思っています。
すべての基盤として重んじる「人間力」

私たちの会社では、すべての基盤として「人間力」を何よりも大切にしています。どんな事業を展開するにしても、最終的には「人」がすべてだと確信しているからです。近年は、働く仲間一人ひとりの自律を促したいとも考えるようになりました。「人を大事にすること」、そして「理念を共有し共に生きること」。私たちが掲げるこの理念は、単なる経営目標というより、もはや社内に根付く「文化」のようなものです。「人間力」という理念が文化として息づき、社員全体で分かち合うことで、組織は初めて同じ方向へ力強く進むことができます。私自身も、そうした温かくも強い文化を先陣を切って創り上げられる社長でありたいと強く願っています。
100年続く企業への新たな挑戦

実は以前から決めていたことですが、来年2月をもって社長を退任し、会長に就任する予定です。トップとして走ってきたこれまでとは異なり、一歩も二歩も引いた立場になるため、今までのように直接意見を言うことは難しくなるでしょう。それでも、会社をさらに飛躍させるためにはどうすべきかを大所高所から考えることが、私の次なるステージであり、新たな挑戦だと捉えています。前に立って組織を引っ張る役割から、一歩引いて成長を力強く下支えする役割へ、自分自身の在り方を変化させていく覚悟です。これからの望みは、会社が成長し続け「100年続く企業」になること。そのためにも、「人間力」を尊ぶ文化を次世代へとしっかりと繋ぎ、「人のつながり」と「まちのにぎわい」を創るという熱い想いを絶やさないでいたいです。ゼロから始まった会社だからこそ、これからも変化を恐れることなく、常に新しい道を切り拓きながら成長し続けていきます。


ゼロから挑んだ店舗設計が、まちに新たなにぎわいを創る
「人間力」を大切に100年企業を目指す社長の熱き想い