藤井 大史郎

株式会社 藤屋
藤井 大史郎
DAISHIROFUJII

創業以来変化を追い求めてきた歴史のある会社、おもてなしの心と人との出会いを大切にし、人の心を重んじる社長

藤屋 藤井大史郎社長 「“心を尽くして縁を結う”という言葉は私たちの存在意義」【長野市】

創業以来変化を追い求めてきた歴史のある会社、おもてなしの心と人との出会いを大切にし、人の心を重んじる藤屋の藤井大史郎社長に、事業転換のきっかけと人とのご縁を大切にしているというお話を伺ってきました。

インタビュアー
酒井 瞳

ずっと変わらずに継承されてきたおもてなしの心を追求していき、かけがえのないご縁に心を尽くしていきたい

目次

心尽縁結

「心を尽くして縁を結う」。弊社は1648年に善光寺の膝下の門前町で創業し、善光寺と深いつながりがあります。善光寺は老若男女問わず、遍く人々を救ってくれるお寺として信仰されています。弊社が同じ場所で商売をしていく中で、この言葉の影響を非常に強く受けています。善光寺で参拝客同士が出会うように、所謂、一期一会のようなご縁を大切にするようになり、人の心を大切にするようになりました。このことから、「心を尽くして縁を結う」という言葉は私たちの存在意義でもあると感じています。

16年前に旅館業からレストランやウェディングの業態に変えた時にも、色んな方との出会いやアドバイスなどを受け、人とのつながりを今まで以上に身に沁みて感じました。これからも人の心を重んじる姿勢を大切にするため、この言葉を大切にしていきたいです。

不易流行

300年以上旅館業を行っていましたが、私の代で一旦お休みすることにしました。この変革は不易流行で言う「流行」の部分に当たります。常に時代の流れを感じ取り、新しいチャレンジをするということです。一方で、長い間旅館業で培ってきたおもてなしの心やこの場所、建物、携わってきた人などは変わらないものであり、「不易」の部分に当たります。

業態を変えようとした時に、建物を全部壊して違うものに作り変えるのではなく、あえて不易の部分をしっかりと残しつつ、業態だけを変えていき、今の藤屋御本陳のスタイルに落ち着きました。私たちは何かを判断するときに、この不易流行という考えを取り入れています。

事業を変えたきっかけ

北陸新幹線が開通するまでは上野から善光寺まで電車で3時間くらいかかっていたため、一度長野に来たら泊まっていくのが前提でした。しかし、長野オリンピックが開催されるにあたって新幹線や高速道路などの交通の整備が進み、気軽に長野まで来れるようになったため、善光寺で参拝してから他の場所へ移動する人が増えました。つまり、長野が滞在型から通過型のエリアに変わっていきました。

長野オリンピックをきっかけにホテルも増え、同業者が増えたことで弊社の旅館業としての商売が難しくなりました。これが事業を変えた理由の一つです。そこから、違う形でお客様をおもてなしできないかと考えるようになり、お昼にレストランをやってみたらどうか、複合施設にしてみるのはどうかなどさまざまな案がでました。また首都圏で古い建物をリノベーションして、レストランウェディングをしている会社との出会いも事業転換のきっかけになっています。

人生で一度しか会っていない父親

私は父親と人生で一度しか会ったことがありません。そのため父親像というものがなく、参考にするべき人がいませんでした。父親と初めて会ったのが専門学校を卒業した時でした。その時にこのまま料理人として就職するか、長野に戻るべきかと相談したところ、ひとまず手に職をつけたらどうかと言われました。そもそも小さい頃から旅館内で過ごしていたこともあり、大学を卒業した時点で家業を継ぐことを前提で行動していました。

元々ある藤屋を活かしたい!

10年以上長野から離れて俯瞰して見た時に、長野は非常に魅力的な町で、藤屋自体も価値のあるものだと分かってきました。今までは生まれ育った場所だから、全てのものが当たり前で、弊社が門前町にあることも不思議ではありませんでしたが、この場所を離れて見たからこそ魅力に気づきました。

今までは観光客の方が多かった場所を地元の方に焦点を当て、この歴史ある建物を色んな人に使ってもらいたいと考えるようになりました。その方法として、旅館業からレストランとウェディングの業態へ変化させようと考えました。結婚式にはたくさんの方が訪れます。私たちが生業にしている「幸せな時をもっと幸せに」の意味において結婚式が合っていると思いました。

また、結婚式を挙げた際にそこでレストランをやってることを知っていただいたり、レストランを利用するお客様に結婚式ができることを知っていただいたりすることで相乗効果をもたらしています。藤屋御本陳という歴史的建造物をレストランとウェディングという業態に変えることで、多くの人に活用していただけるようになりました。

言葉にすることで…

きちんと自分たちの存在意義ややるべきことを言葉にして、明確にするよう意識しています。忙しい毎日を過ごす中でも、なるべく自分の頭の中にあるものを引っ張り出して言葉にしています。言葉にすることで、一緒に働いている人たちに、私たちはこういったことをやっているという意識を持ってもらいたいと思っています。

藤井 大史郎
藤井 大史郎
DAISHIROFUJII
1971年生まれ。長野市出身。日本大学文理学部卒業後、東京YMCA国際ホテル専門学校ホテル専攻科に1年間在学。その後、日本料理の板前として修行し、株式会社エイワに7年勤務。1999年に株式会社藤屋に入社。2006年に代表取締役に就任。
株式会社 藤屋

〒380-0841 長野県長野市大門町80

TEL:026-232-1241

FAX:026-232-1206

10代目以上 50代社長 サービス業 ワークライフバランス重視 創業100年以上 北信 地域密着型 売上10億円以上 女性が活躍 社員数100人以上 若手活躍

本記事のインタビュアー

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