電気が使える「当たり前」づくり
株式会社小松電気設備は、電気工事を通じて、電気が使えるという世の中の「当たり前」を作る会社です。電源コンセントや照明などの設備のほか、太陽光パネルの設置など、近年の自家発電のニーズに応える業務も行っています。社会情勢の変化によって、顧客の求めているものも変わります。顧客のメリットとなる設備工事について会社全体で勉強し、設備投資の目的に応じて丁寧にヒアリングしながら、地域からの信頼に応えられるようにしています。社員は、技術を学び自ら施工することで、電気が使えるようになるまでの仕組みを知ることができます。自分の施工したものが20年以上使われるため、地図に残る仕事だと思っています。
やりがいを感じて継承を決めた
会社を創業したのは先代社長である父ですが、私は学生の時から会社を継ごうと考えていたわけではありません。父の後を継ぐことを決心したのは、25歳の時でした。父から、この会社をどうしたいか尋ねられ、私は当時から、自ら施工した電気設備が長年使われることにこの仕事の醍醐味を感じ、やりがいを持っていたため、会社を継ごうと決めました。電気工事業の資格を積極的に取得し、28歳での事業継承を公言し、社長になる前から、よりよい会社を作るための勉強をしました。
変化の必要性を先輩社長から学ぶ
事業継承に向けた準備をする中で、先輩である他事業の社長との集まりは、紹介してもらうたびに欠かさず参加するようにしました。会合に参加し、多くの社長とコミュニケーションを取った経験は今でも生きています。幅広い年代の社長に、起業時の想いや会社経営について聞くと、快く教えてもらうことができました。多様な社長の意見を通じ、自分自身や社会情勢の変容をしっかり観察した上で、必要に応じて事業を変化させることの大切さを学びました。ニュースやプレスリリースを見て、社会の今後の動向を察知するように心がけているのは、先輩である他社の社長から、変化の必要性を学んだ結果です。
社員の充実感を大切に、質の高い仕事を
私は今、社員達が幸せだと感じる職場環境が何より大切だと感じています。社員の充実感を大事にした上で、最大限のパフォーマンスを発揮してもらう環境を作るようにしてきました。
電気設備は施工後もメンテナンスを行うため、長期的なスパンで仕事の質を保証する必要があります。実績を重ねてより多くの信頼をいただくようになった今だからこそ、よりよい仕事のやり方を学んで効率を上げるのはもちろん、社員の仕事量が長期的に見て無理のない範囲に収められているかどうか、会社全体で検討してきました。忙しいあまりに社員にとって苦しい環境になってしまっては、仕事の質の向上にも繋がりにくく、本末転倒だからです。顧客とも対話を丁寧に行い、スケジュール感覚を共有することで、満足してもらえる施工に繋げています。
分業化と効率化でよりよい職場環境を作る
社員のワークライフバランスを向上させつつ、お客様の信頼に応えるため、私は大きく2つのことに取り組んできました。1つ目は分業化です。業務内容をより細かく整理し、複数の社員に割り振ることで、社員一人ひとりの負担を減らすことに取り組んでいます。2つ目は効率化です。より効率よく仕事ができる道具や施工方法を学び、その学びを新しい社員や共に仕事をする業者さんに共有しています。効率化の面ではDX推進も大切です。弊社の電気工事業含め、建築業は元々書類の数が多いのですが、今は少しずつデジタル化が進んでいます。私は新たなデジタル技術を勉強会で学び、学んだ内容を社員に共有しています。作業を効率化できるような新たな機器に会社の利益を投資しようということを、スタッフ全員で話し合って決めてきました。中小企業として、まずは影響力の大きい大手企業のデジタル化やワークライフバランス実現への施策を積極的に学び、会社に取り入れています。大手企業を見習うだけでなく、メーカーへ新たな機能の提案もしています。
将来の世代へやりがいを伝えるために
建築業の人手不足打開は業界全体の課題です。使ったことのないデジタル技術の導入は、ハードルが高く感じられることもあります。一方で新たな技術は、人手不足や建設コストの上昇など、今後建築関係の企業すべてが直面する課題への対策として期待できます。中小企業を含む全ての会社で、今後の日本の姿を見据え、デジタル化やワークライフバランス推進の工夫を実施して、課題の打開に取り組むべきだと思っています。
導入した新たなデジタル機器は、使っていくうちに慣れていきます。私が気がつかなかった効率的な活用方法を実践する社員もいます。身につけた新たな活用方法は社員同士で学び合い、新入社員にも伝えてきました。新たな技術を伝えることで、若い世代の新入社員が仕事のやりがいを見つけやすくなれば、事業のおもしろさを将来に伝えることに繋がると感じてます。
経験を積み、学びを生かす
私は学生時代から、後輩を思いやる先輩の姿に尊敬の念を抱いていました。他者を尊重できる人間力は、予測の難しいこれからの社会の中で、一層重要になると思います。仕事というのは、人と人との関わり合いの中で生まれてくるからです。社員の人間力や個性のポテンシャルを引き出すのが会社というものです。学生の読者のみなさんには、学生のうちに好きなことや興味があることに積極的にチャレンジしてみて欲しいと思います。挑戦を重ねることで、社会に出ても役に立つ経験を積めるからです。経験を通じ、自分や他者、社会を知り、人間力を形成することもできます。
私自身も、会社を継ぐ前に他社の社長に話を聞いた経験が、会社経営に生かされてきました。当時の話の中で印象に残っているのは、「自分の周りを幸せにできない人は、自分も幸せになれない」という社長の言葉です。私は今後とも、社員が幸福だと感じる職場環境づくりに取り組みます。ワークライフバランスやDX推進により、社員が働きやすい職場にすることが、結果的に変化への対応力を高め、地域のニーズに応え続けることに繋がると信じています。
顧客や社員にメリットがある新たな技術は、積極的に導入する。社員の幸せを大切にして、数十年先も地域の信頼に応え続ける。