武田 揚介

株式会社 巴屋
武田 揚介
YOSUKETAKEDA

子会社での経験を糧に、巴屋グループとしての意思疎通を図る。社員と共に「伸化」する会社をつくる社長。

巴屋 武田揚介社長「得意なコミュニケーションを生かし、次の100年の土台をつくる」【松本市】

子会社での経験を糧に、巴屋グループとしての意思疎通を図る。社員と共に、「伸化」する会社をつくる巴屋の武田揚介社長に、自らの強みを生かし会社を受け継ぐ話や、次の100年に向けた会社づくりのお話を伺ってきました。

インタビュアー
小古井 遥香

「信州を洗う」事業を受け継ぎながら、時代に合った新事業も展開する。社員自らの挑戦を後押しして、次の100年に繋げたい。

目次

決断の難しさを実感

株式会社巴屋は、「信州を洗う」仕事を続け、2023年に100周年を迎えた企業です。事業は主に4つで、お客様から預かった衣類を洗濯するホームクリーニング事業、シーツ・掛け布団などのリネンを滞在施設にお届けするリネンサプライ事業のほか、ユニフォームレンタル事業、コインランドリー事業があります。それぞれの事業は、グループ子会社が専門的に担っています。

私は、2023年に巴屋の社長になる以前から、子会社の社長を務めています。子会社の社長を経験し学んだのは、決断の難しさです。父である先代の社長の決断は、会社のあるべき姿を考えて、時流を読んでいたからこそできていたのだと知りました。私は会社を継ぐまで、社員と一緒に先代に意見を出していましたが、社長になった今、社員と同じ目線に立っていると感じてもらうのは難しくなっています。だからこそ、方針を変更する際や、その内容を社員に伝える際には、決定に至るまでの経緯や、その方針で目指す未来を丁寧に伝えるようにしています。また、グループ会社同士で話し合う機会も増やし、巴屋グループとして、会社同士の状況を把握できる仕組みを作っています。

社員と共に、あるべき会社を考える

子会社の社長として、社員と共に考えることの大切さを実感してきました。望ましい未来を伝えるだけでなく、その未来を達成するための働き方を一緒に考えることで、社員も中長期的な視点を持って主体的に動きやすくなります。子会社の社長就任当初は、一緒に考えるという視点が足りず、社員とのコミュニケーションに難しさを感じていました。社員にも相談させてもらいながら、社長としてのあるべき姿を少しずつ学んでいきました。

得意分野を生かし、プレッシャーを乗り越える

4代目社長として会社を継ぐにあたり、私は大きなプレッシャーを感じていました。100年間続く会社の社長になることに加え、事業を拡大した先代社長の後を継ぐことに、周りからの期待も大きいと感じていました。

プレッシャーの克服に繋がったのは、自分の得意分野を会社経営に生かすようにしたことでした。私はコミュニケーションを取ることや、人と話すことが好きです。メディアに自ら出演し、親しみやすい雰囲気の社長だと地域に思ってもらえるようにしています。真剣な時とのメリハリも知ってもらえれば、巴屋の印象づけにも繋がると思います。先代社長のようなオールマイティではないからこそ、自らの強みを生かそうと考えました。自分が得意な分野を生かして会社を経営できるということが、起業を考えている人にも伝われば嬉しいです。

目指すゴールは同じだった

先代には会社の経営に関して反論したことも多くありました。意見を言いやすかったのも、会社を継ぐまでは先代に判断を任せられたからだと思います。決断の難しさを知った今では、先代のことをとても尊敬するようになりました。子会社の社長を経験させてもらったことも、巴屋の経営に生かすことができています。

先代と私とで考え方が異なる部分もありますが、目指す夢は共通していて、会社を成長させることでした。同じゴールを共有していると分かってからは、合理的な話し合いがしやすくなりました。共通する目標をめざし、お互いが納得のいくやり方を話し合えば良いのだと分かったからです。役員とも、理想や目指すべき会社の姿を共有しています。達成に向けて必要と考える施策について、意見も毎月すりあわせてきました。頻繁にお互いの意見をチェックしているため、会議もスムーズに進むようになり、他の社員に伝える内容も一様になりました。

4つの「シンカ」で社是に意味を

100周年を期に、新たな経営理念を作りました。「みんなが笑顔になるために、伸化しつづける」という理念です。変えるイメージの強い「進化」ではなく、会社の良いところは受け継ぎ、持続して伸ばしていくという意味を込め、「伸化」の漢字を当てました。

巴屋に受け継がれてきた4つの社是にも、それぞれに対応する「シンカ」を当てはめ、誰にとっても分かりやすい社是にしました。「お客様には愛情と感謝で応えよう」という社是には、「進化」の意味を持たせました。お客様によりよい、新しいサービスを提供するよう日々変わる必要があるからです。「プロである自信と誇りをもとう」には、ものごとを深く理解してサービスを提供するための「深化」を、「喜び合える職場作りを目指そう」という社是には、新しい働き方を目指すための「新化」を当てはめました。4つめの社是「社会貢献をしよう」は、巴屋にとっての「真価」です。みなさんが笑顔になるためにできることを考え、実行することこそ社会貢献で、社是の中で一番大切だと考えています。

社是に意味があることで、社員も自らのあるべき姿を把握しやすくなります。社是はそれぞれに持たせた意味と共に、新たな社員に伝えていきたいです。

巴屋を次の100年へ

社是の4つのシンカに取り組むことで、「伸化」も達成されていきます。巴屋は「洗う」仕事に特化して100年間続いてきました。これからも「洗う」ことは受け継いでいきます。「信州を洗う」巴屋を、次の100年で「日本を洗う」巴屋として全国展開させていきたいです。「洗う」仕事で得たノウハウを活用しながら、時代に合った新しい事業に挑戦することも必要です。会社の受け継ぐべき事業を次の100年に繋ぎながら、社会のニーズに合わせて常に伸びる会社にしたいです。
100年後も続く企業にするために、今の私ができることは、10年後、20年後に向けた土台作りです。社員に、好きな仕事ができると感じてもらえるような、風通しの良い会社にすることが、土台作りのひとつです。社員が自らやりたいことを実践できるよう、後押しする社長でありたいと思っています。

武田 揚介
武田 揚介
YOSUKETAKEDA
1977年長野県松本市生まれ。巴屋グループ子会社の社長を経て、2022年株式会社巴屋入社。2023年、代表取締役社長に就任。
株式会社 巴屋

住所:〒399-0014

長野県松本市平田東2-6-1

TEL:0263-58-1940

40代社長 4代目 中信 創業100年以上 地域密着型 売上30億円以上 社員数100人以上 衣料

本記事のインタビュアー

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