山﨑 年起

株式会社 ヌボー生花店
山﨑 年起
TOSHIKIYAMAZAKI

「お花のある生活」という生活スタイルを提案することで、より多くの人達に幸福感を提供していくヌボー生花店・2代目社長
掲載日2017.5.8

ヌボー生花店 山﨑年起社長「花を身近に感じてほしい、花を通じて人々の人生を豊かにする存在になりたい」【長野市】

「お花のある生活」という生活スタイルを提案することで、より多くの人達に幸福感を提供していくヌボー生花店の山﨑年起社長に、2代目を決意した時の想いや、仕事への考えについてお伺いしてきました。

インタビュアー
小古井 遥香

花屋ながら生産地に足繁く通い、生産地と一体となることで、全国の一流生産者の花材が揃う花屋を目指す。

目次

1. 会社概要と理念

当社は長野市で3店舗の花屋を経営しております。企業理念は「お花のある生活」を通して、お客様の心を豊かにすることです。冠婚葬祭に特化するのではなく、日常的にお花を楽しむ生活を提案し、ご家庭や企業に向けてご利用いただいているのが弊社の特徴です。

2. 会社の歴史と成長の道のり

ヌボー生花店は、1974年に私の母が創業しました。時代に応じて冠婚葬祭を中心に成長してきましたが、経営危機も幾度かありました。現在は店舗と企業向けの利用が主で、年商は約2億4000万円を達成しています。冠婚葬祭の需要が減少する中で、日常づかいのお花を提供する店舗の売り上げと企業さまのご利用が残りの売り上げとなります。

3. 社長就任までの経緯

会社が経営の危機に瀕していた時、「誰かがやらなければ」という思いで2006年に入社し、2013年に社長に就任しました。それまでシステムエンジニアとして働いていたのですが、4人の異なるタイプの上司にマネジメントされた経験が現在に活かされています。その過程の中で、冠婚葬祭注文の激減や、飲食店に手を出して失敗したことなど、花屋の経営は試行錯誤の連続ですが、やりがいを感じつつ、日々成長を目指しているところです。

4. 台風・コロナ禍での変化と再認識

私の価値観が大きく変わったきっかけは、台風の洪水被害やコロナ禍を経験したことです。お祝い自粛ムードが続き、注文のキャンセルも多く、そもそもなぜ花屋をやっているのかまで考えていました。ですが今思うと、これらの経験をしたことで「花屋の存在価値とは何か」を考えるようになりました。それまでは「花屋を存続させるために自分がいる」と思っていましたが、今は「花屋の価値をいかに高められるか」に考え方が変わりました。この時期を通して、お花を日常に取り入れることの大切さを再認識し、家庭用の需要に応える取り組みを強化しました。つらい時期でしたが、これがなかったら今の自分はいないと思います。学びが深い時期でした。

5. 経営方針の転換

もうひとつその期間に大きな変化がありました。自宅用に買いに来るお客さんがレベルが違うくらい増えたんです。正直、売り上げの減少は「コロナだから仕方ない」と言い訳していた部分もあったのですが、主要店舗にお客さんがどんどん来てくださっていて、「これはどういうことだろう」と調べたら、苗などの園芸関係と自宅用の切り花が非常によく売れていたんです。今思うとよくやったなと思いますが、自粛期間も明けない時期に大きなSALEをやったこともありました。確かその時期、新聞にチラシが入っていたのはうちだけでしたね。そしてそのSALEが、爆発的に売れました。それを見て、人間の根本的な欲求は変わらないな、花は求められている必要なものなんだなと感じたんです。

実施に踏み切ったのは、閉鎖されたつまらない世の中で、絶対に花が求められていると感じていたからです。「商売のための花屋」から「地元のお客さんに寄り添う、身近で普段使いできる花屋」へと意識が劇的に変わりました。自宅用花の販売をやりたい、やらなければならないという使命感を感じるようになったのです。

それまではコロコロやることを変えてマネージャーに怒られたりしていましたが…そこからは経営をあまり迷わなくなりました。観葉植物や自宅用切り花に力を入れるなど、仕入れの仕方も変わりました。今は季節ものの花は人気が高く、仕入れも一苦労です。そういった状況でも、お客様に旬の花を届けたいので、産地と定期契約を組むことで安定した仕入れを目指しています。もともと産地の方々と信頼関係を築いてきたおかげで、スムーズに定期の取引を行うことができています。こうしたつながりがあるからこそ、毎回お客様に季節を感じてもらえる品揃えができるんです。

日常的にご家庭でお花を楽しんでいただくための品揃えを重視し、ご来店いただく度に新たな発見があるような店舗づくりを目指しているのも、「花を身近に感じてほしい、お花を通じて豊かになってほしい」という想いがすべての根幹にあるからです。

6. 品揃え・接客・品質

お客様に「花のある生活」を楽しんでいただくために、買い物を始める前から帰ってお花を飾るまでのすべての体験が大事だと思っています。先ほどの仕入れの話にもありますが、品揃えが常に豊富で、来店のたびに新しい花との出会いがあるように工夫しています。

そして接客ですが、私はスタッフに接客について指示をすることはほとんどありません。いい買い物ができたなと思うかどうかは、お客様個人に合わせた接客で決まると思っているからです。パーソナルな接客には正解がないので、スタッフたちが集中してお客様のために動ける環境づくりを意識しています。採用の基準も、学歴や職歴だけでなく、「この人から花を買いたいと思うか」が重要だと考えています。花を贈ったりもらったりした経験をリアルな言葉で話せる人が理想です。

うちの花は「長持ちする」とよく言っていただけるのですが、これがとても大事なことだと思っています。自分でも花を飾って、すぐにダメになるとやっぱり悲しいですからね。ただ、性質上、すべての花が長持ちするとは限りません。季節のお花には日持ちしにくい種類もあります。でも、そうした花もお客様に楽しんでもらえるように、日々、基礎の品質を上げる工夫をしています。花屋の信頼は、こうした小さな積み重ねから生まれると思っています。

7. 働き方の選択肢と社員への想い

社員がプライベートとのバランスを取りながら働けるよう、柔軟な働き方を提供しています。リモート勤務や時短勤務も導入し、社員が成長し、豊かな人生を送れる環境を作っているんです。働き方改革が進んでいると評価していただくことも多いですが、現在導入しているリモート勤務や時短勤務は、社員一人ひとりの状況を考慮した結果であり、社員が仕事を通じて成長し、豊かな人生を送れるよう試行錯誤した結果です。働き方の選択肢を増やすことで、社員が自らの成長を追求できる職場づくりを進めています。

8. 今後の展望と目標

今後は、全国の花屋の「モデル」となるような存在を目指しています。地域や業界に貢献しつつ、圧倒的な品揃えとサービスでお客様の生活を豊かにする、全国の花屋が目標にするような店舗が理想です。さらに花き業界全体の底上げにも貢献し、ヌボー生花店を地域の皆さまに愛される会社に成長させることが目標です。将来的には、ヌボー生花店が花業界全体を支える存在となり、関わっていただいたすべての方に「ヌボーはここまで成長した」と感じていただけるよう努力を続けてまいります。

山﨑 年起
山﨑 年起
TOSHIKIYAMAZAKI
1979年長野市生まれ 立命館大学理工学部情報学科卒業 大学卒業後、東京の大手システムインテグレータに入社。大手製造業の生産管理システムの企画に携わり、若くしてプロジェクトマネージャーとして活躍する。 2006年にヌボー生花店へ入社。2014年に代表取締役社長に就任。
株式会社 ヌボー生花店

長野県長野市北尾張部715-7
TEL.026-259-0700
FAX.026-244-6583

2代目 40代社長 創業30年以上 北信 地域密着型 女性が活躍 小売 年功序列重視 社員数30人以上

本記事のインタビュアー

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